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博士論文 / 極低温6Li原子気体を用いた同種フェルミ粒子系におけるp波三体再結合に関する研究

著者

書誌事項

タイトル

極低温6Li原子気体を用いた同種フェルミ粒子系におけるp波三体再結合に関する研究

著者名

吉田純

学位授与大学

電気通信大学 (大学ID:0032) (CAT機関ID:KI000323)

取得学位

博士(理学)

学位授与番号

甲第944号

学位授与年月日

2018-06-30

注記・抄録

The scattering among more than three-body is required to create moleculeswithout changing of inside structure for satisfying of the laws of conversion of energy and momentum. There is no question that the study of creation of molecules has general interest. But, it is well known that few-body physics is difficult to analyze.The three-body recombination which is the creation of a molecule and a particle from three particles has been studied by an ultracold atomic system. The ultracold atomic system is useful for the study of scattering because the system has very high experimental degree of freedom. For example, the density and temperature can be tuned, moreover, the interatomic interaction too. The high experimental degree of freedom contributes to the study of scattering even few-body scattering. The three-body recombination with s-wave scattering which is the zero order expansion of partial waves have been studied and cleared the relationship between the scattering parameters and the three-body recombination by the ultracold atomic system. Nowadays, the attention turns to the three-body recombination with p-wave scattering which is the first order expansion of partial waves.In this study, we prepared a system scattering with only p-wave channel byusing ultracold 6Li atoms and a p-wave Feshbach resonance and measured thethree-body recombination coefficient at various the temperatures and the mag-netic field. We cleared the relationship between the scattering parameters and thethree-body recombination coefficient. We found that the largeness of an effectiverange among scattering parameters handle a regime to resonant or non-resonant.本研究分野ではフェッシュバッハ共鳴と呼ばれる技術によって原子間相互作用を自在に操作することが出来、このことは様々な散乱研究に貢献をしてきた。 本研究ではこのフェッシュバッハ共鳴を用い、最低次の有限角運動量をもった散乱であるp波散乱現象について着目し研究を行った。その中でも特に、粒子が三つ集まった時にそのうち二つが束縛状態に落ち込む現象である三体再結合と呼ばれるp波非弾性散乱について、その現象の発生頻度がどういった散乱パラメータにどのように依存しているかを実験的に検証することを目的とした。その理由として、一つには非弾性散乱に起因する原子ロスが弾性散乱の研究(特に超流動などの多体物理研究)の障壁となってきたことが挙げられる。つまり、非弾性散乱が散乱パラメータにどのように依存するのかを詳細に知ることで、非弾性散乱がその系でどのような影響を及ぼすかを予測出来るようになり、ひいてはその補正を施すことで弾性散乱の研究をより正確に行うことが出来るようになることを期待している。また本研究で得られる非弾性散乱に関する知識はp波超流動実現のための戦略を考える際の大きな材料となるだろう。 さらに非弾性散乱特性のうち、本研究のテーマである三体再結合の詳細な理解は、ただ多体物理などの弾性散乱研究の補正に役に立つだけではなく、それ自体が面白味を含んでいる。内部構造のない粒子が散乱により分子状態を形成するには運動量・エネルギー保存則の関係から三体以上の散乱が必要である。分子状態の形成についての詳細な理解はどの分野においても有益な情報となることは疑いようもない。しかし三体以上の粒子の散乱(少数多体問題)は一般に理論的解析が非常に難解であることが知られており、実験による研究成果が期待されている。 そこで我々はエネルギー基底状態に偏極された極低温6Li原子気体を用いて三体再結合に起因する原子ロスである三体ロスを、捕獲した原子数の時間変化を測定することにより観測した。具体的には三体ロスの頻度を決定するパラメータである三体ロス係数が散乱エネルギー及び散乱体積にどのように依存するのかを温度依存性測定及び磁場依存性測定により調べた。本研究の特色として、エネルギー基底状態に偏極された極低温6Li原子気体を用いることによって、原子のトラップ寿命を無視すれば原子がロスする原因を三体ロスのみに絞ることが出来、原子数の変化から三体再結合の頻度を測定することが出来る点にある。同じくフェルミ粒子系の研究でよく用いられている40K系では二体ロスの効果が無視できないため、原子数の時間変化から三体ロス係数を測定することは難しくなる。 これまでに、理論解析による先行研究によって三体ロス係数が散乱エネルギーに関して2乗の関係性を持つこと(ウィグナーの閾値則)、及び散乱体積に関して8/3乗の関係性を持つこと(べき乗則)が予測されている。しかしこれまでにこの依存性の予測が実験的に証明された例はなく、本研究の成果はこの依存性の予測に対する初めての実験的成果となっている。 本研究の成果は以下の2つである。(1)p波三体ロス係数の散乱パラメータ依存性を決定した三体ロス係数は“あるパラメータ領域”において散乱エネルギーに関して2乗の関係性を持つこと、及び散乱体積に関して8/3乗の関係性を持つことが実験的に証明された。この実験結果は理論解析によって行われた先行研究による予測(ウィグナーの閾値則、及びべき乗則)と一致するものであった。(2)p波三体再結合過程において、限られたパラメータ領域でしか(1)が成り立たなかった原因を有効長の寄与に依るものと同定した。有効長とは散乱パラメータのひとつであり、一般にs波散乱では散乱に与える寄与は非常に小さく無視されるが、p波散乱においては顕に関係してくるパラメータである。様々な実験パラメータで行われた測定結果を詳細に解析することにより、二つの依存性(ウィグナーの閾値則、及びべき乗則)が成り立つ領域である“あるパラメータ領域”は有効長が無視できる領域か否かによって決定されることを実験的に見出した。このことにより、三体再結合においても、この有効長の存在がs波散乱における三体再結合との決定的な違いを表していることが判明した。

2018

各種コード

NII論文ID(NAID)

500001074518

NII著者ID(NRID)
  • 8000001186929
DOI (JaLC)

10.18952/00008707

DOI

info:doi/10.18952/00008707

本文言語コード

jpn

データ提供元

機関リポジトリ / NDLデジタルコレクション

DOI

博士論文 / 電気通信大学 / 理学

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