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博士論文 / 高感度イムノセンシング系の構築を指向した固相基板上への抗体固定化技術の開発

著者

書誌事項

タイトル

高感度イムノセンシング系の構築を指向した固相基板上への抗体固定化技術の開発

著者名

宮尾寛樹

学位授与大学

九州工業大学 (大学ID:0071) (CAT機関ID:KI000844)

取得学位

博士(情報工学)

学位授与番号

甲情工第326号

学位授与年月日

2017-03-24

注記・抄録

イムノセンシングは、抗原抗体反応を利用した分析技術であり、生体成分等を対 象とした分析に幅広く活用されている。このイムノセンシングでは、一般に抗体を 固相基板上に固定化する必要があり、この抗体の固定化が分析性能に大きな影響を 及ぼすことが知られている。そこで、本研究では、高感度なイムノセンシング系の 構築を目指し、特殊な酵素反応系と抗体結合タンパク質を組み合わせた、固相基板 上への抗体固定化技術の開発を行った。具体的には、古細菌Sulfolobus tokodaii 由 来のビオチン化酵素反応系と、黄色ブドウ球菌由来の抗体結合タンパク質である Protein A の抗体結合ドメイン(Z-domain)を利用した。S. tokodaii 由来の同酵素反 応系は、ビオチンリガーゼ(BPL)がビオチン化された基質タンパク質(BCCP) と非常に安定な複合体を形成するという性質を有している。本研究では、この特性 を活用してZ-domain を固相基板上へ固定化し、それを介して抗体を固定化する技 術の開発を行った。 まず、高感度なイムノセンシング系を簡便に構築することを目的として、一段階 のビオチン化反応に基づいた抗体固定化技術の開発を行った。具体的には、遺伝子 工学的手法を利用して、Z-domain とBCCP を連結した融合タンパク質(Z-BCCP) を作製し、その融合タンパク質を、ビオチン化反応を介して固相基板上へ固定化す る技術の開発を行った。ここでは、固相基板として水晶発振子マイクロバランス (QCM)法のセンサーチップを利用し、その振動数変化から基板上へのタンパク 質の結合量を評価した。ビオチン化反応に基づいてZ-BCCP を固定化したQCM セ ンサーチップ上に、抗体を添加したところ、顕著な振動数の低下が見られ、さらに 抗原の添加に伴い再び大きな振動数の低下が見られた。これより、本手法を利用し てセンサーチップ上に、抗体を捕捉し、抗原抗体反応を検出できることがわかった。 さらに、本手法の有用性を評価するために、抗体を直接センサーチップ上に物理吸 着させた系との比較を行った。その結果、本手法を利用した系の方が、10 倍以上 大きなレスポンスの変化を示し、本手法を利用してより高感度なイムノセンシング 系を構築することが可能であることを示すことができた。 次により高感度なイムノセンシング系を構築することを目的として、多段階のビ オチン化反応を利用した抗体固定化技術の開発を行った。ここではまずZ-domain の両端にBCCP とBPL を連結した融合タンパク質(BCCP-Z-BPL)を用いた技術の 開発を試みた。BCCP-Z-BPL は、その分子内に会合ユニット1セット有するため、 BPL を固定化した基板上に、この融合タンパク質を連続的に添加し、多段階的にビ オチン化反応を行うことにより、基板上でZ-domain のポリマーを形成できるもの と考えた。実際に、この融合タンパク質を作製し、基板上で同タンパク質のポリマーを固定化することには成功したが、そのポリマー化反応を制御することが困難で あることがわかった。 そこで、次に別のアプローチによるZ-domain のポリマー化を試みた。ここでは、 BPL 二分子を連結したBPL ダイマーと、Z-domain の両端にBCCP を連結した融合 タンパク質(BCCP-Z-BCCP)を利用した。この系ではBPL を固定したセンサーチ ップ上に、BCCP-Z-BCCP とBPL ダイマーを交互に添加することにより、基板上に Z-domain のポリマーを、その重合度を制御して固定化できるものと考えた。実際 にBPL を固定化した表面プラズモン共鳴(SPR)法のセンサーチップ上に両タン パク質を段階的に添加し、そのレスポンスの変化を観察したところ、両タンパク質 の添加に伴い、各段階でSPR シグナルの増大が観察された。これより期待通り、 BCCP-Z-BCCP とBPL ダイマーを利用して、Z-domain のポリマーを任意の重合度 でセンサーチップ上に固定化できることがわかった。さらに、このセンサーチップ に対して、抗体及び抗原を添加すると顕著なSPR シグナルの増大が観察され、イ ムノセンシング系として活用できることも確認できた。現段階ではまだZ-domain のポリマー化に伴う検出感度の増大効果は限定的であるが、今後、実験系の最適化 を行うことにより、非常に高感度なイムノセンシング系を構築することも可能であ ると考えられる。さらに、本技術は、他のタンパク質の固定化にも適用できる新規 なアプローチであるため、学術的にも価値の高い研究であると言える。

九州工業大学博士学位論文 学位記番号:情工博甲第326号 学位授与年月日:平成29年3月24日

第1章 序論|第2章 実験方法|第3章 実験結果および考察|第4章 結論

平成28年度

九州工業大学博士学位論文(要旨)学位記番号:情工博甲第326号 学位授与年月日:平成29年3月24日

目次

  1. 2017-10-02 再収集 / (index.pdf)

キーワード

ポリマー, 抗体固定化, イムノセンター, 抗体結合タンパク質, ビオチン化反応

各種コード

NII論文ID(NAID)

500001036843

NII著者ID(NRID)
  • 8000001129907
本文言語コード

jpn

データ提供元

機関リポジトリ / NDLデジタルコレクション

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