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博士論文 / 勤労者の身体活動の水準に関連する個人要因に関する研究 - 働き方、心理社会的因子、自己調整スキルの観点から - An Occupational Health Marketing Study on the Interdependent Factors of Worksite Physical Activity Promotion

著者

書誌事項

タイトル

勤労者の身体活動の水準に関連する個人要因に関する研究 - 働き方、心理社会的因子、自己調整スキルの観点から -

タイトル別名

An Occupational Health Marketing Study on the Interdependent Factors of Worksite Physical Activity Promotion

著者名

岩崎美枝

学位授与大学

九州工業大学 (大学ID:0071) (CAT機関ID:KI000844)

取得学位

博士(学術)

学位授与番号

甲生工第294号

学位授与年月日

2017-03-24

注記・抄録

定期的な身体活動の実践は、総死亡率や虚血性心疾患などの罹患率を下げるだけでなく、メンタルヘルスや生活の質の改善にも効果が高いことが知られている。一方、日本の成人で定期的に身体活動を実践している人は、男女ともに約3割に留まっている。また、職域においては、定期健康診断結果の有所見率が50%前後で推移していることに加え、高年齢労働者の増加も見込まれることから、健康づくりとしての身体活動の重要性はますます高まると予想されている。原田(2013)は、身体活動促進と関連した近年の心理学研究をレビューし、これまでの知見から身体活動の媒介要因(メディエーター)を探る研究が活発化していることを指摘し、概念間の用語の差異はあるものの自己調整の重要性が支持されていると報告している。自己調整とは、社会的認知理論のなかで人の行動を説明する機能のひとつとして取り上げられている構成概念で、自他からの影響に動機づけられて自己コントロールを行うことを指す。自分自身を動機づけるための代表的な方略としては、目標設定やセルフ・モニタリングなどが想定される。一方、日本においては、行動変容技法を実践することが身体活動量の増加や運動習慣の定着に影響を与えるかの検討が不十分であることが指摘されている(武田, 2012)。本研究では、勤労者を対象に、心理社会的要因と自己調整の特性が、身体活動量の増加や水準とどのような関連があるかを検討することを目的とする。本論文は、5章(第1章:はじめに、第2章:方法、第3章:結果、第4章:考察、第5章:総論)から構成されている。第1章では、本研究の背景を述べるとともに、成人の身体活動量に関連する要因および身体活動促進の介入に関する先行研究を概説した上で、勤労者に有効な方略に関する現状と課題という観点から言及した。第2章では、本研究の方法について述べた。本研究の対象者は、某企業の主催する3ヶ月間のウォーキング促進イベントに参加した座位中心の生活を送る勤労者であり、イベント終了時にWebによる質問票調査に回答した281名であった。調査内容は、基本属性、勤務関連情報を含めた社会的要因、心理的要因、身体活動量(国際標準化身体活動質問票にて測定)、目標設定の状況、健康手帳の登録状況(セルフ・モニタリング)であった。分析には、相関分析、カイ二乗分析、Mann-Whitney U検定、メディエーション分析を用いた。第3章では、結果について述べた。対象者は、平均年齢46.3±7.5歳で、男性が76.2%を占めた。対象者の身体活動量の平均は、1,818メッツ・分/週であり、2割が推奨身体活動量を満たしていた。職種は開発職が30.6%、役職者は38.4%であった。勤務状況は、直近1ヶ月の時間外労働時間がほとんどない者が38.8%を占め、仕事の負担は、精神的負担ありと回答した者が66.2%、身体的負担ありと回答した者が22.0%であった。通勤時間のうち片道徒歩時間が30分以上の者は32.7%を占めた。相関分析において、運動セルフ・エフィカシーは身体活動量と中等度に強い正の相関を示した。また、個人目標の要素数は、身体活動量と弱い正の相関を示したが、健康手帳の登録頻度との関連では有意な関連を認めなかった。メディエーショナルモデルを用いた分析において、個人目標の要素数と身体活動量の関係を、運動セルフ・エフィカシーが媒介していることが明らかになった。第4章では、考察について述べた。目標の要素数が増えることが、運動セルフ・エフィカシーを媒介して身体活動量の増加に関係することが明らかとなった。目標が具体的であることは、運動セルフ・エフィカシーを高めることに有効な方略のひとつになると考える。また、勤労者において身体活動の目標を持つことは、身体活動が増えることに直接的な関連はないが、身体活動実行の意欲や認識の正の変化と関連すると考えられた。さらに、1日1万歩の行動変容ステージ「後期群」の身体活動の確保に、自己コントロールとしての目標設定や健康手帳の登録が関与していること、個人目標では「身体活動の1回量」の関連が特に高いことを示している。身体活動量の増加と対象者の社会的特性の関連では、通勤時の歩行時間を増やすこと、運動施設の利用、役職者などに注目して職域の身体活動促進を企画していくことが有効と考える。第5章は、総論であり、論文のまとめと今後の課題について述べた。本研究では、身体活動増加に関連する要因を社会的特性と自己調整スキルの観点から検討した。今後は、推奨身体活動量を満たした勤労者の割合が増加することを目的として、媒介要因としての運動セルフ・エフィカシーが上昇する方略を、別の角度からも検討していく必要がある。これらの知見は、職域の身体活動促進のエビデンスの蓄積に貢献できるとともに、産業保健の現場で、勤労者に有効な介入を行うことの企画にも役立つと考える。

九州工業大学博士学位論文 学位記番号:生工博甲第294号 学位授与年月日:平成29年3月24日

第1章 はじめに|第2章 方法|第3章 結果|第4章 考察|第5章 総論

平成28年度

九州工業大学博士学位論文(要旨)学位記番号:生工博甲第294号 学位授与年月日:平成29年3月24日

目次

  1. 2017-10-02 再収集 / (index.pdf)

各種コード

NII論文ID(NAID)

500001036895

NII著者ID(NRID)
  • 8000001141511
本文言語コード

jpn

データ提供元

機関リポジトリ / NDLデジタルコレクション

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